令和5年度中小企業実態調査委託費(中小企業の実態把握に関する調査研究)報告書

掲載日: 2024年11月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁事業環境部企画課調査室
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報告書概要

この報告は、令和5年度に実施された中小企業の実態把握に関する調査研究について書かれた報告書である。

株式会社帝国データバンクが中小企業庁の委託を受けて実施したこの調査は、国際経済秩序の変化やエネルギー・原材料価格高騰等の影響により変化の著しい事業環境に置かれている中小企業の実態を把握することを目的としている。産業構造審議会では「失われた30年」と決別する大きな潮目の変化が起こっているとし、中小企業の成長が経済産業政策の新機軸に含まれていることから、中小企業・小規模事業者がこのような変化をどのように受け止め、成長につなげているかを調査・分析している。

調査は2つの主要テーマで構成されている。第一に中小企業の経営課題とその解決に向けた取組に関する調査では、全国の中小企業100,000件を対象として2023年11月から12月にかけて実施され、22,298件から回答を得た。第二に中小企業が直面する外部環境の変化に関する調査も同様の規模で実施されている。調査対象は中小企業基本法に基づく中小企業のうち、従業員数1人以上、業歴10年以上の企業から抽出されている。

先行研究の分析では、成長企業における人材育成の重要性、金融機関とのリレーションシップバンキングの効果、企業の戦略におけるアントレプレナーシップの要素、イノベーション活動の実態、スタートアップ企業の成長プロセス等が整理されている。これらの研究から、企業の成長には人材育成・能力開発が不可欠であり、イノベーションやスタートアップが市場や地域発展に重要な役割を果たすことが明らかになっている。また、中小企業の業績立て直しにおいて金融機関が重要な役割を担っていることも示されている。

調査結果の単純集計表では、テレワーク実施状況の変化、各支援機関への相談希望、経営力再構築伴走支援のニーズ等の詳細なデータが示されている。新型コロナウイルス感染症の影響により2020年から2021年にかけてテレワーク実施率が一時的に向上したものの、2023年には再び減少傾向が見られる。支援機関への相談では人手不足が最も多い課題として挙げられており、商工会や商工会議所等の従来型支援機関への依存が続いている。