令和5年度エネルギー需給構造高度化基準認証推進事業費(我が国工作機械産業の競争力強化に関するルール形成戦略に係る調査)報告書
報告書概要
この報告は、日本の工作機械産業の国際競争力強化に向けたルール形成戦略について書かれた報告書である。日本の工作機械は技術力による高い精度と耐久性でグローバルでトップシェアを維持しており、自動車や電機・電子など幅広い製造業で不可欠な産業となっている。しかし、生産人口減少や熟練工不足といった構造的問題が深刻化する中、DXやGXなどの世界的メガトレンドにより、従来熟練工に依拠していた生産プロセスのデジタル化と省エネ性能向上がグローバルで求められている。
日本の工作機械メーカーは耐久性、高精密な複合機、価格対比品質の良さにより自動車業界を中心に高い支持を得ているが、新興国の技術台頭や部品メーカーの内製化により競争が激化している。特に中国は国策として工作機械の技術力向上を図り、一部メーカーは日本市場への進出も開始している。欧州ではCatena-X等でサプライチェーンのデータ共有基盤構築に取り組み、中国も2045年に製造業でグローバルトップを目指しデジタル化と標準化を推進している。
デジタル化への対応では、複数企業間のデータ連携仕組み構築とユーザー企業のメリット醸成が重要である。海外事例を踏まえた成功ポイントとして、ユーザーの危機意識醸成、経営層の心理的ハードル引き下げ、データガイドライン構築、セキュリティガイドライン定義、業界団体によるトップダウン推進などが挙げられる。日本は各種仕組み構築に着手しているが、顧客企業の心理的ハードルやデジタル化対応が不足している。
必要なアクションとして、心理的ハードル引き下げ、トップダウンでの標準化推進、技術開発、IT人材の育成・採用、検討委員会の立ち上げが挙げられる。IT人材確保においては人材要件の明確化と有望な人材プールとの継続的接点創出が重要である。また省エネソリューションでは運用計画提案、エネルギー負荷調整、設備自動制御、機器更新による効率向上が求められている。