令和5年度原子力産業基盤強化事業委託費一般産業用工業品の放射線環境下の使用指針の整備事業事業報告書
報告書概要
この報告書は、原子力発電所の定期検査などにおいて使用される一般産業用工業品の放射線環境下での使用指針を整備する事業についてまとめた報告書である。従来の原子力専用品は高コストで調達期間が長いという課題があったため、一般産業用工業品を放射線環境下で安全に使用するための指針策定が求められている。本事業では令和2年度から6か年計画でセンサ類を対象として照射試験を実施し、光電センサ、近接センサ、トルクセンサ、測域センサ、ドローンなどの耐放射線性データを取得している。令和5年度は追加照射試験として、通電状態や入力電圧が機器の耐放射線性に与える影響を評価するため、光電センサと近接センサを対象に異なる条件下での照射試験を実施した。また、遮へい体を用いてカスタマイズした測域センサの照射試験も行い、遮へい解析コードによる計算結果との比較検証を実施した。試験結果から、光電センサは入力電圧24Vより12Vの方が耐放射線性が向上し、通電状態では非通電状態より故障が早期に発生することが確認された。近接センサでも同様の傾向が見られた。ドローンについては構成部品のカメラが最も放射線に脆弱であることが判明した。これらの試験データを基に技術委員会を設立し、機器への適用方法や適合性評価について検討を開始した。今後は故障原因の詳細調査や実機への適用性評価を通じて、原子力施設における一般産業用工業品の安全な使用指針の完成を目指している。
