令和5年度規制改革推進のための国際連携事業(我が国データの国際的な流通実態及び技術動向に係る調査) 報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度規制改革推進のための国際連携事業として実施された我が国データの国際的な流通実態及び技術動向に係る調査について書かれた報告書である。デジタル技術やAIの利活用が進む中で国際的なデータ量が増加している現状において、日本が2019年に提唱した信頼性あるデータ流通(DFFT)の実現に向け、これまで中心であった個人データに加えて産業データ等の非個人データの保護に関する議論が注目を集めている背景を踏まえ、本調査では産業データに焦点を当てた包括的な調査を実施した。諸外国における非個人データ保護規則の動向として、中国では越境移転や国内保存に関する規制が設けられ、米国では包括的な法律は存在しないものの安全保障目的の技術保全規制や秘密保持命令制度があり、EUでは経済安全保障戦略の下で重要技術リストが作成され流出リスクが評価されるとともに、デジタル主権追求のためのデータ共有基盤構想が進行している。日本企業のデータ流通実態については、製造業においては自動車分野で車両データを活用したコネクテッドサービスが広く展開され、自動車以外の製造業では工場の生産管理効率化のためのデータ活用が進み、貿易・物流業では商取引データの電子プラットフォーム化やブロックチェーン技術を活用した輸送貨物の状態把握サービスが浸透しつつある。企業インタビューからは、個人データと異なり非個人データについては統一的な方針や統合的なガバナンスが構築されていない企業が多く、ガバメントアクセスリスクに対してはオンプレミス運用やクラウドテナントの日本限定等で対処している現状が明らかになった。データ保護技術については、秘密計算、連合学習、差分プライバシー、ブロックチェーン、分散ID、データ連携基盤等の技術が主に米国IT企業やITベンダーによって実用化が進められているが、国内でも主要企業や大学機関が連携した実証実験や技術開発が進展している。
