令和5年度化学物質規制対策(ナノ材料等に関する国内外の安全情報及び規制動向等に関する調査)

掲載日: 2024年11月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課化学物質リスク評価室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和5年度化学物質規制対策(ナノ材料等に関する国内外の安全情報及び規制動向等に関する調査)のサムネイル

報告書概要

この報告は、ナノ材料等に関する国内外の安全情報及び規制動向について書かれた令和5年度の調査報告書である。

報告書は、JFEテクノリサーチ株式会社により経済産業省の委託事業として実施され、ナノ材料の安全性評価と規制動向の把握を目的としている。ナノ材料は抗菌加工、日焼け止め、化粧品等の日用品からリチウムイオンバッテリーの電極添加剤まで幅広い用途で活用されており、今後の更なる応用が期待されている一方で、安全性評価方法が確立されていないため、各国で予防的対応が取られている現状が述べられている。

欧州では2013年にフランス、ノルウェーでナノ材料の届出・登録が義務化され、その後デンマーク、ベルギー、スウェーデンでも実施されている。また、EU化粧品規則により化粧品中のナノ材料に関する安全性データの届出と表示が義務化されている。国際的な動きとしては、OECD工業ナノ材料作業部会においてドシエが整備され、科学的知見の蓄積が進展している。

調査内容は主に4つの分野から構成されている。第一に国内外の規制動向及び安全性情報として、ナノ材料を含むアドバンストマテリアルと内分泌かく乱物質に関する化学物質管理について、欧州委員会によるナノ材料定義勧告の改正や各国の規制動向が詳細に分析されている。第二に国際機関におけるガイダンス・テストガイドライン・規格等の動向として、OECDテストガイドラインやISO標準化の状況が調査されている。第三にOECD工業ナノ材料作業部会の活動状況と各国の取り組みが報告されている。第四にナノ材料の安全管理に関して、市場動向調査に基づく候補材料の抽出と情報提供項目の検討が行われている。

報告書では、欧州を中心とした「safe-by-design」アプローチと化学物質管理規制を結びつける動きが活発化しており、開発から廃棄までのサプライチェーン全体でのライフサイクル管理の重要性が強調されている。この調査結果は、我が国のナノ材料等の安全な管理と国際的貢献、ひいてはナノテクノロジーの発展に寄与することが期待されている。