令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(ヘルスケアサービス市場等に係る調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業におけるヘルスケアサービス市場等に係る調査事業について書かれた報告書である。
本調査は、ヘルスケア産業振興政策を検討するため、その市場規模を中長期的に把握することを目的として実施された。調査内容は主に2つの柱から構成されており、第一に経済産業省の令和4年度調査で行われたヘルスケア産業市場規模の2050年度までの推移について、使用された計算式の整理を行うこととしている。この計算式は「知」「測」などの全16分野において、市場規模データに対して人口推移などの諸係数を適用したものである。第二に介護保険外サービスについて類型化を行った既存資料を基に、特に介護関係製品・サービスに係わる保険外サービスの現時点及び2035年までの市場規模推計の算出を行うことである。
ヘルスケア産業市場は、健康保持・増進に働きかけるものと患者・要支援・要介護者の生活を支援するものに大別される。2020年時点で前者が18.5兆円、後者が6.4兆円の計25兆円であったが、2050年には前者が59.7兆円、後者が16.9兆円の計77兆円まで拡大すると推計されている。これは約52兆円の大幅な市場拡大を示している。健康づくり分野では、医療DXや健康経営の進展により関連業種における市場拡大や新たなサービス提供が見込まれ、介護分野では高齢化に伴い需要が拡大し、特に生活支援関連のサービスが顕著に拡大するとされている。調査対象は主に65歳以上の慢性期・移行期の介護者に関わる市場とし、認知機能の低下や身体機能の低下による介護需要に焦点を当てた分析が行われている。
