令和5年度燃料安定供給対策調査等事業(石油製品等の品質確保に係る規制の在り方に関する調査) 報告書
報告書概要
この報告は、石油製品等の品質確保に係る規制の在り方に関する調査について書かれた報告書である。日本、米国、欧州各国におけるバイオ燃料導入に向けた規制・規格の動向を詳細に分析し、各地域の燃料品質規制、供給インフラ対応、車両認証制度、誤給油防止対策等の実態を包括的に調査している。欧州では2003年のバイオ燃料指令以降、段階的にE10/B7まで混合率を引き上げ、2014年のEuro6発効によりE10/B7試験で型式認証を得た車両のみ販売を許可する制度を確立した。米国では2005年の再生可能燃料基準(RFS)策定後、ブレンドウォール問題を契機にE15の規格整備と車両適用条件を拡大し、2011年にEPAが2001年以降製造車両のE15使用を遡及的に許可している。一方、日本では2012年からE10試験燃料による車両認証制度を導入したものの、中濃度バイオ燃料の規格整備が欧米と比較して遅れている状況が明らかとなった。欧米では政府がバイオ燃料導入拡大の方針を明示することで、燃料供給側と車両側が予見性を持って対応を進め、インフラ設備更新時にバイオ燃料対応への転換を図ることでコスト負担を抑制している。誤給油防止については、一度の誤給油で直ちに車両故障に繋がる可能性は低いとの認識から、ラベリング義務付けと普及啓発活動により対応している。我が国における混合率増加の主要な障壁として、バイオ燃料自体のコスト増と供給インフラの未対応が挙げられ、国産原料に乏しい状況では製造コスト削減に限界があることから、既存インフラ活用可能なETBEや合成燃料等のドロップイン燃料開発が現実的な対応策として提言されている。