令和5年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(モーリシャスにおける海洋温度差発電に係るGCF/CTCNに関する実現可能性調査) 報告書

掲載日: 2024年11月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局地球環境対策室
委託事業者: 株式会社商船三井
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報告書概要

この報告は、モーリシャスにおける海洋温度差発電に係るGCF/CTCNに関する実現可能性調査について書かれた報告書である。

二国間クレジット制度とパリ協定の目標達成に向けて、日本の優れた環境・エネルギー技術の普及を進めるため、CTCNの活用を念頭に置いたモーリシャスでの海洋温度差発電システムの導入可能性を検討した。モーリシャスは2030年までに再生可能エネルギー利用比率60%の国家目標を掲げており、海洋温度差発電が有力候補として位置づけられている。

調査では、CTCN Pro-bono方式を活用してモーリシャス政府による技術協力要請の準備支援を実施し、海洋深層水取水管の仕様策定と最適化検討を行った。Saint FelixとBel Ombreの候補地において、水深800mから1000mでの深層水取水システムの概略設計を実施し、取水量10,000ton/hから7,500ton/hに対応する管径1,500mmの取水管ルートを検討した。

海洋深層水取水管については、圧力損失、密度差静水頭、温度損失の影響を評価し、ポリエチレン管を用いた自然流下方式を採用することが適切と判断した。取水管敷設には浮遊曳航法を採用し、陸上取水施設との接続には推進工法の活用を提案した。環境条件として、モーリシャス南部海岸の地形、地質、気象、海象条件を詳細に調査し、サンゴ礁への環境影響を最小化する設計方針を確立した。

ハワイNELHAの大口径取水管敷設事例を現地調査し、技術的知見を収集した結果、1,500mm径の取水管敷設は技術的に実現可能であることを確認した。GCFへの提案可能性についても検討し、気候変動緩和と適応への貢献度の高さから資金調達の親和性が高いと評価した。Saint Felix案とBel Ombre案を比較検討した結果、取水管延長の短さ、土地利用の確実性、既存インフラとの干渉回避などの観点からSaint Felix案が推奨される。