令和5年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(高度外国人材の受入れ拡大に向けた調査・研究) 報告書
報告書概要
この報告は、高度外国人材の受入れ拡大に向けた調査・研究について書かれた報告書である。日本の持続的な企業価値向上と人的資本経営の推進において、高度外国人材の積極的な登用がダイバーシティの深化、経営の柔軟化、イノベーション創出、グローバル化の進展に資するとの認識のもと、包括的な調査が実施された。調査は文献調査、企業へのアンケート調査およびインタビュー、高度外国人材研究会での議論を通じて行われ、企業における活躍、生活環境、制度面の現状把握と課題抽出が行われた。高度外国人材の定義は国によって異なるものの、日本では高度専門職および技術・人文知識・国際業務の在留資格保持者を指し、J-SkipやJ-Findといった新制度も導入されている。現状では韓国などと比較して外国人材の割合が低く、高度外国人材誘致の魅力度も中位水準に留まっている。企業側では日本語能力や受け入れ体制の未整備が主要課題となっており、特にデジタル人材のニーズが高い一方で、処遇やキャリアパスの不明確さ、上司のマネジメント行動への不満などが定着を阻害している。生活環境面では住宅確保、金融サービス利用、医療アクセス、子弟の教育環境、行政サービスの多言語対応などに課題があり、特にインターナショナルスクールの選択肢の限定や英語対応医療機関の不足が指摘されている。制度面では税制優遇措置について諸外国との比較調査が行われ、シンガポールや香港などの競合国と比較して日本の税制面での競争力向上の必要性が示された。これらの課題解決に向けて、企業の意識改革と体制整備、生活インフラの多言語対応、制度面での優遇措置の検討などが求められている。
