令和5年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(現下の世界経済情勢を踏まえた我が国企業の海外展開の実態及び課題把握に関する調査研究)報告書

掲載日: 2024年11月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局企画調査室
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令和5年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(現下の世界経済情勢を踏まえた我が国企業の海外展開の実態及び課題把握に関する調査研究)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、米中対立やロシアによるウクライナ侵略、権威主義国による経済的威圧の増加など、地政学・経済安全保障上の理由を背景として変化する世界経済情勢下における我が国企業の海外展開の実態及び課題について調査・分析した報告書である。

調査は令和5年度に実施され、海外現地法人をもつ在日本企業1,104社および海外現地法人をもたない在日本企業3,035社を対象としたアンケート調査、企業情報分析、ヒアリング調査を通じて実施された。調査の結果、海外現地法人をもつ企業では製造業が約6割を占め、特に機械器具製造業の割合が高いことが明らかとなった。また、従業員数は21人から300人の中小企業が56.4%を占め、売上では10億円以上100億円未満の企業が44.8%となっている。

グローバルサプライチェーンの状況については、調達先で依存度の高い国・地域として中国が34.1%と突出して高く、次いでタイが4.5%、台湾・ベトナムが各3.7%となった。これらの国・地域におけるリスクとしては、国家間等での緊張の高まりが37.9%、貿易制限・関税が32.0%、米中貿易摩擦が29.7%が挙げられている。しかし、調達先の依存度低減に向けた取組については、現時点では取組の必要性は感じていないとする企業が29.6%と最も高く、取組の必要性は感じているが取り組むことが困難とする企業が21.0%となっている。

企業情報分析では、直接輸出企業、間接輸出企業、それ以外の企業の3つに分類して分析を行った結果、直接輸出企業は従業員数が多く、仕入先数・販売先数も多い傾向にあることが判明した。直接輸出企業の労働生産性は全体的に高く、間接輸出のTierが増すほど従業員数が少なく、規模が比較的小さい企業が多く含まれている。また、業種構成比についても、直接輸出企業では機械器具卸売業の割合が高く、間接輸出企業では機械器具に関する製造業の割合が高い傾向が確認された。サプライチェーンの強靭化に向けた課題としては、新たな調達先や販売先を見つけることの困難さや人材確保・社内体制整備の不足が主要な問題として挙げられている。