令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(省エネ法に基づく定期報告書等の分析・情報提供事業)報告書
報告書概要
この報告は、省エネ法に基づく定期報告書等の分析・情報提供事業について書かれた報告書である。令和5年度に資源エネルギー庁が実施した調査事業として、約12,000の特定事業者等から提出された省エネ法定期報告書及び中長期計画書の分析を通じて、事業者の省エネ取組の実態把握と政策立案への材料提供を目的としている。
本事業では、まず定期報告書等のデータベース構築と集計を行い、事業者の省エネ取組状況を定量的に把握した。続いて自由記述欄の分析により、原単位分母の分類や省エネ措置の分類を実施し、業種別の傾向を明らかにした。また省エネ定期報告データの変動要因分析では、42業種を対象にエネルギー使用量の推移や原単位前年比の動向を詳細に検討し、新型コロナウイルス感染症の影響が悪化要因として依然として多くの業種で見られることが判明した。
さらに外的要因による原単位変動の分析では、コロナ禍前後の原単位比較を通じて、外的要因が改善方向と悪化方向の両面で作用していることを確認した。総合エネルギー統計に対する省エネ法定期報告書のカバー率は、産業部門で約83%、業務他部門で約57%となっており、省エネ法改正に伴う特定事業者の予備群推計も実施した。
省エネ法改正を踏まえた新たな分析項目として、非化石化の進捗を示す指標の提案、非化石化のための施策把握、非化石エネルギー転換実績の集計などを検討した。また定期報告情報の開示に向けたフィードバック方法として、ESG投資家向けの開示レポート様式を提案し、47社分の試行版を作成した。最後に省エネルギー政策課題のエビデンス抽出では、エネルギー変動モデルの分析やベンチマーク制度の評価分析を通じて、事業者の省エネ取組状況を多角的に評価し、今後の政策立案に資する知見を提供している。
