令和5年度「商品先物取引に関する委託者等の実態調査」報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度の商品先物取引における委託者等の実態について調査した結果をまとめた報告書である。経済産業省が商品先物取引の受託業務の現状把握と制度立案の基礎資料とするため、株式会社アダムスコミュニケーションに委託して実施された調査の結果を示している。
調査は一般委託者を対象とした標本調査と商品先物取引業者を対象とした全数調査で構成され、国内商品市場取引、外国商品市場取引、店頭商品デリバティブ取引の三分野を対象としている。委託者調査では634件の有効回答を得て、国内商品市場取引233件、外国商品市場取引21件、店頭商品デリバティブ取引380件の回答を分析している。
国内商品市場取引では、回答者の93.6%が男性で、50歳代から70歳代が全体の7割以上を占めている。取引商品は堂島取引所の金が50.2%、東京商品取引所の原油が74.2%と高い割合を示している。注文方法はネット取引が72.1%と主流となっており、年代別では60~64歳で86.2%と最も高い。投資の動機は資産運用が59.2%で最も多く、投機の28.8%を大きく上回っている。
外国商品市場取引では、回答者21人すべてが男性で、50~59歳と60~64歳がそれぞれ23.8%を占めている。取引商品は貴金属市場の金が57.1%、エネルギー市場の原油が47.6%と高い。注文方法はネット取引が95.2%とほぼ全てを占めている。取引のきっかけはインターネット経由が61.9%で最も多く、資産運用を目的とする回答が52.4%となっている。
店頭商品デリバティブ取引では、男性が86.1%、40~49歳が30.5%と最も多い。取引商品は貴金属市場の金が62.4%で最も高く、エネルギー市場では原油が53.7%、天然ガスが43.4%となっている。注文方法はネット取引が91.3%を占め、取引のきっかけはインターネット経由が74.7%と圧倒的に多い。資産運用を目的とする回答が61.1%で最も高い割合を示している。
商品先物取引業者調査では、取引口座数が令和6年年初時点で国内商品市場取引16,944口座、外国商品市場取引62,438口座、店頭商品デリバティブ取引747,776口座となっている。損益状況では、国内商品市場取引の一般個人において利益者572人、損失者610人となり、店頭商品デリバティブ取引では利益者19,874人、損失者42,965人という結果が示されている。取引件数と取引金額では、店頭商品デリバティブ取引が一般個人で50,194万件、16兆6,552億円と最も大きな規模を示している。
