令和5年度技術開発調査等推進事業(大学発ベンチャーの実態等に関する調査)
報告書概要
この報告は、大学発ベンチャーの実態と課題について書かれた報告書である。文部科学省の依頼により日経BPコンサルティングが実施した2023年度調査の結果をまとめ、大学発ベンチャーの現状把握と政策検討の基礎資料として作成された。調査は全国の大学や高等専門学校を対象とした設立状況調査と、大学発ベンチャー企業への実態調査、さらに大学や企業へのヒアリング調査の三つの手法により実施されている。2023年10月末時点で確認された大学発ベンチャー数は4,288社となり、2022年度から506社増加し過去最多を記録した。2014年度以降9年連続で企業数が増加しており、新規設立企業は286社、解散等は76社であった。業種別では「ITアプリケーション・ソフトウェア」が1,338社で最多、次に「バイオ・ヘルスケア・医療機器」が1,240社と続く。定義別では「研究成果ベンチャー」が49%を占め最も多く、新設した「教職員等ベンチャー」は4%であった。関連大学別では東京大学が420社でトップ、次いで慶應義塾大学291社、京都大学273社の順となっている。地域別では関東地方が2,265社と最多で、都道府県別では東京都が1,595社で突出している。実態調査では正社員数5人未満の企業が56%を占め、売上高は1,000万円以上5,000万円未満が最多となった。営業利益は53%の企業が0円で、研究開発費は24%が0円であった。最大出資者は70%が創業者で、出口戦略としてIPOを希望する企業が28%であった。経営人材確保については、大学発ベンチャーを把握している大学等の65%が支援を実施しており、そのうち50%が経営人材確保につながった実績があると回答した。博士号取得者については71%の企業が在籍しており、54%の企業が今後採用したい意向を示している。国際展開については54%が提供希望があるが開始していない状況で、海外拠点設置希望は38%、海外資本受け入れ希望は34%にとどまっている。