令和5年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(ポータブル電源の安全性能に係る技術基準等に関する調査)報告書概要
報告書概要
この報告は、ポータブル電源の安全性能に係る技術基準等に関する調査について書かれた報告書である。
ポータブル電源の市場は国内外ともに拡大傾向にあり、2023年度は2022年度に比して市場が伸びており、2024年度以降も継続的な成長が見込まれている。リチウムイオン蓄電池を搭載し交流100ボルト程度を出力するポータブル電源は、災害時やアウトドアでの使用により一般消費者に浸透している。一方で、NITEに寄せられたポータブル電源の使用による事故は増加傾向にあり、主に火災事故が報告されている。
現在、ポータブル電源は電気用品安全法の規制対象外となっているが、大容量のリチウムイオン蓄電池を搭載していることから、火災や感電等の電気的リスクが存在する。事故原因の類型では、出力端子から逆充電した事例が9件確認されており、車内での保管中に出火する事例も発生している。
安全対策の現状では、メーカーは電気用品安全法の技術基準解釈に準じた対策を適用し、UL2743やIEC62368-1等の規格を自主的に採用している。しかし、ポータブル電源特有のIEC規格が存在せず、各社が独自に判断している状況である。メーカー間での意見交換の場や業界団体も存在せず、一社のみでの安全対策には限界があるとの声が上がっている。
このため、本調査ではJIS C 62368-1をベースとして、ポータブル電源特有のリスクに対応できる安全性要求事項案を作成した。要求事項案の作成は6段階のステップで実施され、リスクシナリオの抽出、リスク低減策の検討、既存規格の参照、独自要求事項の作成を経て、将来的なJIS化を視野に入れた包括的な安全基準として整理された。
