令和5年度中小企業実態調査事業(中小企業の欠損金、賃上げ実施状況の調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、中小企業の欠損金と賃上げ実施状況について書かれた調査報告書である。令和5年度に一般社団法人CRD協会が実施した事業で、令和6年度税制改正大綱で決定された賃上げ促進税制の強化に関連する分析を行った。新制度では中小企業が賃上げを実施した年度に控除しきれなかった額を5年間繰り越すことができる繰越控除制度が創設されるため、これまで活用できなかった赤字企業も本税制を利用できるようになる。調査では資本金1億円以下の約30万社を対象とし、2011年から2020年の10年間における財務データを分析した。CRD協会が保有する中小企業決算データベースを用いて、最終的に294,868社の決算データを対象として調査を実施した。調査項目は赤字・黒字パターンの集計、連続赤字期数の集計、主要な赤字・黒字パターンの抽出、黒字転換後の累積赤字消化期間の分析、賃上げ促進税制の税額控除額消化期間の分析の5項目である。調査期間は令和6年3月19日から29日までの短期間で実施され、成果物として連続赤字パターン別件数と赤字黒字パターン分析の2つが作成された。この調査により赤字企業が繰越控除制度を活用するまでの期間を試算し、税制改正の効果を予測することが可能となった。