令和5年度成長型中小企業等研究開発支援事業(中小企業のイノベーション創出を支援する「イノベーション・プロデューサー」による活動支援実証事業 実証事務局)事業報告書
報告書概要
この報告は、中小企業のイノベーション創出を支援する「イノベーション・プロデューサー」による活動支援実証事業について書かれた報告書である。本事業は、デロイト トーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社が事務局として実施し、イノベーション・プロデューサーの活動強化と新製品・新サービス開発プロセスに関する知見収集を目的とした。事業では、38件の応募から11者(イノベーション・プロデューサー6者、トライアル実証事業者5者)を選定し、第三者委員会による審査を経て実証事業を開始した。実証事業者は、医療機器開発、半導体・脱炭素、デザイン思考、安全保障など多様な分野で中小企業のイノベーション支援を行った。支援内容の類型化では、新製品・サービス開発における各ステップ(コア技術見極め、ニーズ探索、ギャップ分析、ギャップ克服、市場投入・販路開拓)で中小企業が直面する障壁と必要な支援を整理した。成功要因分析では、支援者が支援先企業の経営・財務基盤を確認していること、信頼関係を構築していること、専門知識とネットワークに基づく助言を行うこと、具体的行動計画への落とし込みを促すこと、企業側のオーナーシップを促進することの5要素が重要であると仮説的に抽出した。また、各実証事業者の知見を形式知化し、ケーススタディとして支援手法を整理した。今後の課題として、市場投入・販路開拓段階での検証、製造業以外の業界での支援手法検証、形式知化されたマニュアルの運用面での課題抽出、公的中小企業支援への還元などが挙げられている。
