令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業における工場等のエネルギー使用状況及び管理実態に関する調査事業について書かれた報告書である。
調査対象は、省エネ法に基づき指定を受けた特定事業者等のうち、事業者クラス分け評価制度により「Bクラス」に位置づけられた230事業者と、「Sクラス」に位置づけられた20事業者である。調査期間は2023年8月から2024年3月まで実施された。
工場等現地調査の結果、判断基準の遵守状況について評点化した結果は全事業所の平均で91.0点であり、判断基準は概ね遵守されていた。指定工場等の方が非指定工場等よりも高い評点を示し、項目別では事業場で「照明、昇降機、動力設備」、工場では「廃熱の回収利用」が他の項目に比べて遵守が不十分であった。
原単位の推移については、5年度間平均で1%以上改善した事業所の割合は事業場で26.7%、工場で15.9%と低い水準であった。原単位の悪化要因として、事業場では「作業等の環境対策」が最も多く、これはコロナ対策として換気を行いながら空調設備を使用したことによるものである。工場では「生産の減少」が最も多く、コロナ禍による製品需要と原材料供給の低迷が主な原因となっている。
過去の工場等現地調査による効果検証では、2020年度から2021年度に調査を受けた事業者の77.4%が2022年度にBクラスを脱却してSクラス又はAクラスになっており、調査の有効性が確認された。Sクラス事業者のヒアリング調査からは、優れたエネルギー管理体制や省エネ活動の参考事例が収集され、Bクラス事業者の改善に役立つ情報が整理された。
また、業務部門の事業者における年間エネルギー使用量が原油換算1500kL以上となる延床面積についても分析が行われ、業種ごとにエネルギー使用量と延床面積の相関関係が確認された。この結果により、業種別の1500kL以上となる延床面積の目安が算出されている。
調査後のアンケートでは、回答者の95.6%が調査を有意義であったと回答し、省エネの取組を促進する効果が確認された。今後も継続的な調査と支援により、事業者の省エネルギー推進と脱炭素社会の実現に向けた取組が期待されている。
