令和5年度デジタル取引環境整備事業 (AIガバナンスのルールに関する調査研究及び検討会運営) 調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省委託事業として実施された「令和5年度デジタル取引環境整備事業」における、AIガバナンスのルールに関する調査研究及び検討会運営について書かれた報告書である。AI関連技術の急速な発展に伴い、品質向上やリスク対応など様々な課題が存在する中、特に生成AIの台頭により取り巻く環境が劇的に変化している現状を受け、経済産業省と総務省が連携してAI事業者向けガイドラインの統合・見直しを行った。本事業では「AI事業者ガイドライン検討会」と「AI事業者ガイドラインワーキンググループ」を複数回開催し、渡部俊也東京大学教授を座長とする有識者による検討を実施した。調査では2019年策定の「人間中心のAI社会原則」を土台とし、既存の3つのガイドラインを統合して新たなガイドラインを策定している。国際的にはEUの「信頼性を備えたAIのための倫理ガイドライン」、OECDの「人工知能に関する理事会勧告」、UNESCOの「人工知能の倫理に関する勧告」、米国の「AI権利章典の青写真」やNISTの「AIリスクマネジメントフレームワーク」など主要な諸原則との整合性を考慮した。活用促進のため、NECグループ、東芝グループ、パナソニックグループ、富士通グループ、日本デジタルヘルス・アライアンスなど、AIガバナンスに積極的に取り組む事業者の実践事例を収集し、コラムとしてガイドラインに掲載している。これらの事例では、各社が独自のAI倫理原則やガバナンス体制を構築し、品質保証の仕組みやリスクチェックシステムの整備、従業員教育の実施など、具体的な取り組みを展開していることが示されている。
