令和5年度燃料安定供給対策調査等事業(今後の石油備蓄目標の在り方検討事業)最終報告書

掲載日: 2024年12月21日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部燃料供給基盤整備課
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報告書概要

この報告は、日本の石油備蓄制度の今後の在り方について検討した報告書である。2050年カーボンニュートラル宣言により国内の化石燃料需要は減少が見込まれる一方で、中東依存度が90%を超える状況において地政学的リスクが継続している現状を踏まえ、石油備蓄目標の検討を行った。調査では海外における石油備蓄制度の分析として、IEA加盟国31か国の備蓄日数を調査し、日本は200日を超える備蓄量を確保していることが確認された。また米国、韓国、英国、ドイツ、スイスの5か国を対象に詳細な制度調査を実施した。米国は戦略石油備蓄として政府が4か所の地下貯蔵基地で管理し、韓国は韓国石油公社が9基地で運営している。英国とスイスは民間企業による備蓄義務制度を採用し、ドイツは国家石油備蓄庁が4か所の地下岩盤タンクで管理している。石油備蓄のあり方検討会を3回開催し、エネルギーセキュリティの専門家らによる議論を行った結果、複雑化する地政学的リスクに備えて備蓄日数の減少は避けるべきであり、現状の基地分散化を維持すべきとの結論が得られた。また機動性向上のための油種入替事業の継続や、基地の特性を踏まえた役割分担の重要性が指摘された。志布志石油備蓄基地の現地視察も実施し、実際の運営状況を確認した。今後は脱炭素化の進展と国際情勢を踏まえた石油備蓄目標の検討が必要とされている。