令和5年度産業経済研究委託事業(インパクトスタートアップの官民連携にかかる調査研究)調査報告書
報告書概要
この報告書は、インパクトスタートアップと官民連携に関する調査研究について書かれた報告書である。EY新日本有限責任監査法人が令和5年度産業経済研究委託事業として実施した調査では、インパクトスタートアップと地方自治体との連携における課題の実態を網羅的に把握し、解決策の検討を行った。調査対象は全自治体1788団体のうち401自治体から回答を得、J-startup Impact応募企業やインパクトスタートアップ協会会員企業116社から回答を収集した。また中間支援団体や有識者へのヒアリング調査も実施している。調査結果として、連携実現前の出会い段階では課題が明確化されていないケースや既存事業を廃止しないと新規事業が立ち上げにくい問題が確認された。最初の連携時では連携推進体制の不備により調整に多大な時間がかかる課題や、インパクトスタートアップへの信用が低く域内・既存事業者を選ぶ傾向があることが判明した。連携実現後の継続段階では単年度契約や後払いが一般的でインパクトスタートアップの強みが発揮しきれない問題や、実証事業が単発に留まり次につながらない課題が明らかとなった。解決策の事例として、北九州市のソーシャルエックスの逆プロポ活用や、つくば市のトライアル発注認定事業などが既に実施されており、これらの考え方や知見は他の自治体にも展開可能であると分析している。
