令和5年度小規模発電設備等保安力向上総合支援事業報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が実施した令和5年度小規模発電設備等保安力向上総合支援事業について書かれた報告書である。
本事業は、2023年3月20日から施行された小規模再生可能エネルギー発電設備に係る基礎情報届出制度及び使用前自己確認制度の適切な運用を目的として実施された。主要な業務として、243件の太陽電池発電設備への立入検査同行、基礎情報届出2572件及び使用前自己確認結果届出1450件の形式チェック、新制度に関するコールセンター運営、WEB講習会5回の開催、並びに6000件の小規模太陽電池発電設備設置者への保安管理状況調査を行った。
立入検査では、全ての設備において何らかの技術的指摘事項が確認され、特に接合部の検討不備や許容応力度設計の不備が多く見られた。設計図書では70.9%の設備で接合部に関する指摘があり、69.2%で架台部材強度に関する指摘があった。現地調査では53.9%で接合部の問題、44.0%で実設備と図面の相違が指摘された。
届出の形式チェックでは、電子申請で24.9%、紙申請で13.3%に不備があった。使用前自己確認結果の届出に添付された構造計算書の専門家による確認では、太陽電池発電設備では接合部構造の確認で99%、部材強度の確認で98%、基礎及びアンカー強度の確認で98%の設備で指摘があった。風力発電設備では荷重計算書で95%、強度計算書で91%の設備で不備が確認された。
コールセンターには年間4575件の問い合わせがあり、うち46%が使用前自己確認に関するものであった。WEB講習会には529名の申込があり、284名が修了証を取得した。小規模太陽電池発電設備設置者への保安管理状況調査では、約37%の設備で技術基準適合性の確認困難や維持義務違反の疑義が示唆された。
これらの結果から、小規模再生可能エネルギー発電設備における保安意識の向上と技術基準適合性の確保が重要な課題であることが明らかとなり、継続的な指導と改善策の検討が必要であると結論づけられた。
