令和5年度規制改革推進のための国際連携事業(データの越境移転に係る国内のニーズに関する動向調査)調査報告書

掲載日: 2025年2月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局総務課国際室
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令和5年度規制改革推進のための国際連携事業(データの越境移転に係る国内のニーズに関する動向調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、データの越境移転に係る国内のニーズに関する動向調査について書かれた報告書である。経済産業省委託事業として、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社が実施したもので、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具体化に向けた国際的取組と国内の検討体制確立について調査したものである。

2019年に日本が提唱したDFFTコンセプトは、プライバシーやセキュリティ、知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を越えて自由に流通する国際的環境の実現を目指している。2023年4月のG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合では、DFFT具体化に向けた国際枠組みとしてInstitutional Arrangement for Partnership(IAP)の設立について合意され、同年5月のG7広島サミットで首脳レベルでの承認を得た。

国内検討体制として、経済産業省とデジタル庁の共催により「国際データガバナンス検討会」と「国際データガバナンスアドバイザリー委員会」を設置した。国際データガバナンス検討会では、産学有識者による議論を通じて、データ越境移転に関する規制の透明性確保や相互運用性の向上などの課題が議論された。また、産業データの越境流通における企業の課題として、営業秘密の保護、ガバメント・アクセスに対する懸念、規制が不明瞭で適用範囲が広範であることによるコンプライアンスコストの増大などが挙げられた。

データの越境移転に関する企業認証制度として、グローバル越境プライバシールール(GCBPR)認証制度の普及啓発活動も実施された。企業ヒアリングでは、認証制度の認知度向上、実務的なメリットの創出、取得・維持コストの軽減などが課題として明らかになった。福岡と大阪で開催されたワークショップでは、CBPR認証制度の普及啓発を目的とした情報提供が行われ、参加企業からは制度理解の深化と活用意欲の向上が確認された。

今後の方針として、次年度以降は産業データの越境管理に関する実務指針の策定を目的とした産業データSubWGの設置が予定されている。また、国際的なデータガバナンス形成において日本が主導権を握るため、OECDの下で設立されるIAPでの積極的な議論参加と、国内企業のニーズを反映した政策提案の継続的な検討が重要であるとされた。