令和5年度石油・ガス供給等保安対策調査等事業費(自然災害によるLPガス設備の被害に関する予見可能性調査)調査報告書

掲載日: 2025年2月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループガス安全室
委託事業者: 株式会社パスコ
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令和5年度石油・ガス供給等保安対策調査等事業費(自然災害によるLPガス設備の被害に関する予見可能性調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、自然災害によるLPガス設備の被害に関する予見可能性調査について書かれた報告書である。

本調査では水害、雪害、土砂災害におけるLPガス設備被害の予見可能性マップの作成および改良を目的として実施された。水害については、昨年度調査で作成した3地域における洪水等によるLPガス容器流出と流速およびLP設備の設置位置との関係を詳細に分析した。長野県千曲川流域、茨城県鬼怒川流域における被害箇所と浸水深、流速の関係を調査した結果、被害の有無と浸水深の相関性は低く、流速が速いポイントで流出被害が発生する傾向にあることが判明した。また、家屋倒壊等氾濫想定区域に該当する被害箇所は156箇所中154箇所で約93%となっており、相関性が極めて高いことが確認された。

雪害については、2011年から2023年の13年間における雪害等によるLPガス設備被害399事例を収集し、人為的要因を除外した288事例を分析対象とした。地形的条件として、土地利用区分「建物用地」で68%、建物棟数100棟以上で90%以上、北寄りの斜面で44%の被害が発生していた。気象条件では、豪雪地帯・特別豪雪地帯で99%、最高気温-5℃以上10℃未満で94%、最低気温-10℃以上0℃未満で84%、積雪量20cm以上で95%の被害が発生していた。現地調査では北海道、秋田県、青森県、岩手県において、無落雪屋根からの雪庇による落雪や三角屋根からの直接的な落雪が主要な被害要因であることが確認された。

土砂災害については、過去10年程度に発生した土砂災害事例から衛星画像判読により流失家屋をLPガス被害箇所として189箇所を抽出した。広島県、福岡県、大分県の事例を分析した結果、土砂災害警戒区域に該当する被害箇所は156箇所で約82.5%、渓流から40m以内の被害箇所は166箇所で約87.8%、地形分類「山地」に該当する被害箇所は120箇所で約63%となった。これらの指標を用いて土砂災害によるLPガス設備被害の予見可能性マップを作成した。

各災害種別において、水害では流速0.5m/s以上および家屋倒壊等氾濫想定区域、雪害では建物密集度と気象条件、土砂災害では土砂災害警戒区域と渓流からの距離を主要指標として、250mメッシュ単位での緻密な予見可能性マップを作成し、災害対策を行う上で重要な可視化ツールとして整備された。