令和5年度国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費(世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する調査)調査報告書

報告書概要

この報告は、世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方について書かれた報告書である。

本報告書は、令和5年度に実施された温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度に関する調査結果をまとめたものである。世界各国で導入が進むカーボンプライシング制度について、炭素税、排出量取引制度、オフセットクレジット制度の3つの主要な経済的手法を中心に詳細な分析を行っている。調査対象国は、EU、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、米国、カナダ、ニュージーランド、豪州、韓国、中国、シンガポール、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシアの19か国・地域となっている。

特にEU排出量取引制度(EU ETS)については、2005年の制度開始から現在の第4フェーズまでの制度変遷と運用実態を詳述している。また、英国のEU離脱に伴う独自の排出量取引制度(UK ETS)の導入経緯や、気候変動税などの政策ミックスについても分析している。さらに、各国の政治経済状況、エネルギー需給構造、温室効果ガス排出量の推移などの基礎的なデータも整理されている。

国際機関の動向として、パリ協定第6条の実施規則やWorld Bankの市場メカニズム支援活動についても調査結果が示されている。各国制度の共通点として、カーボンプライシングが気候変動政策の唯一の解決策ではなく、様々な政策を補完する可能性をもつ政策類型の一つであることが指摘されている。