令和5年度燃料安定供給対策調査等事業(カーボンリサイクルの社会実装実現に向けた調査)報告書

掲載日: 2025年3月7日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部燃料環境適合利用推進課
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報告書概要

この報告は、カーボンリサイクルの社会実装実現に向けた包括的な調査について書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラル目標を受けて実施された本調査では、CO2を資源として有効活用し大気中への排出を抑制するカーボンリサイクル技術の導入促進策を検討している。

調査では、カーボンリサイクルによるCO2利用量の最大ポテンシャルを試算し、2030年時点で約600万トン、2050年で約2億~1億トンという結果を得た。この試算はIEAの需要見通しシナリオに基づき、合成燃料、化学品、鉱物化における理論上の最大利用量を算出したものである。

産業間連携については、大規模産業集積型、中小規模・分散型、オンサイト型の3つの類型に分類し、それぞれの課題と解決策を整理した。共通課題としてCO2の需給調整、品質管理、情報共有における独占禁止法への対応、クリーン水素の安定調達などが挙げられ、CO2マネジメント事業者の役割整備や関係法令の整備が解決策として提示されている。

海外事例ではドイツのCarbon2Chemプロジェクトやベルギーのメタノール製造事業など、国内事例では五井・蘇我地区のコンビナート連携や各地域での実証事業を紹介している。また、有識者会議では環境価値認証の重要性、国際的なルール形成の必要性、技術開発から商用化への移行支援などが議論された。さらに大学研究機関における技術開発状況や独占禁止法上の課題についても詳細に分析されており、カーボンリサイクルの社会実装に向けた総合的な政策提言を行っている。