令和5年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(諸外国における電力システム改革に関する調査)報告書

掲載日: 2025年3月7日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力産業・市場室
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報告書概要

この報告は、諸外国における電力システム改革について書かれた報告書である。一般財団法人日本エネルギー経済研究所が2024年3月に作成したもので、主にEU諸国、イギリス、米国の電力制度改革および2022年以降のエネルギー価格高騰への対応策を分析している。

EUでは2019年クリーンエネルギーパッケージに続き、2023年にエネルギー危機を受けた電力市場設計の見直しが行われた。市場原理に委ねるだけでなく、CfDやPPAを通じた低炭素電源確保、容量市場の恒久化、弾力性サービスへの支援など公的介入を拡大する方向に転換している。また2022年10月には「エネルギー価格高騰対策緊急介入規則」が制定され、需要削減、発電事業者の超過収益回収、化石燃料企業への連帯拠出金などの措置が導入された。

各国の対応策として、フランスでは原子力発電電力売却制度の拡大や電気料金値上げ制限、ドイツではEEG賦課金廃止や電力・ガス価格上限設定、スペインではイベリア市場でのガス価格上限設定、イギリスではエネルギー価格保証制度、米国では各州独自の減税措置などが実施された。これらの措置は需要家支援、事業者支援、棚ぼた利益課税の組み合わせで構成されている。

イギリスでは2050年ネットゼロ目標に向けて包括的な電力システム改革REMAが検討されており、脱炭素レディ義務の拡大、大規模長時間電力貯蔵への支援、水素・CCS技術への支援制度、送電建設の加速化、配電系統での弾力性サービス市場構築などが含まれる。地点別限界価格制度の導入は見送られたが、CfD制度の見直しや容量市場の最適化が継続検討されている。