令和5年度技術開発調査等推進事業(事業会社の有する革新的な技術等の活用によるディープテック・スタートアップ・エコシステムの形成促進に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、事業会社の有する革新的な技術等を活用したディープテック・スタートアップ・エコシステムの形成促進について書かれた報告書である。経済産業省からの委託により野村総合研究所が実施した令和5年度技術開発調査等推進事業の成果として作成されたものである。
日本企業において活用されていない技術を外部化し事業化する手法の促進とそのエコシステム形成を促進する方策を検討することを目的として実施された。調査では、カーブアウトによるスタートアップ創出を事業会社で実施するためのフローの整理及び生ずる論点の整理、スタートアップ創出型カーブアウトに先進的に取り組む事業会社及び創設されたスタートアップに関する調査、事業会社で経験を積んだ人材の流動化促進に関する現状・課題・対処方策の調査が行われた。
調査手法としてデスクトップ調査、有識者へのヒアリング、有識者を招聘した研究会の開催が用いられた。調査結果として、事業会社にとってのカーブアウトの意義・メリットとして経済的メリットの存在、カーブアウトによる事業の成功率向上、社会的期待への対応の3つが示唆された。また、Hondaやリコー、武田薬品工業などの事業会社において新規事業創出プログラムが整備されており、これらのプログラムの成果としてカーブアウトスタートアップが輩出されていることが明らかとなった。
人材流動性については、ディープテック・スタートアップに関する人材流動において、就労者、スタートアップ、VC、人材仲介業のいずれのプレイヤーにも人材流動を妨げる課題が存在することが判明した。特にシード、アーリー期における人材流動性が低く、スタートアップは資金面から採用が困難であり、転職検討者も給与面や安定性の観点からミドル・レーター期を志向するケースが多いことが示された。これらの調査結果を踏まえ、スタートアップ創出型カーブアウトの促進に寄与することを目的としたカーブアウトの手引きが作成された。
