令和5年度中⼩企業取引対策事業(素形材産業を取り巻く国内外の環境変化を踏まえた取引実態等に関する調査)調査報告書

掲載日: 2025年3月7日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局素形材産業室
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令和5年度中⼩企業取引対策事業(素形材産業を取り巻く国内外の環境変化を踏まえた取引実態等に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、素形材産業を取り巻く国内外の環境変化を踏まえた取引実態等について書かれた報告書である。経済産業省が2016年に「未来志向型の取引慣行に向けて」を公表して以降、型管理アクションプランや下請振興法に基づく振興基準の改正など、取引適正化の取組を推進してきた成果として、素形材企業の取引慣行には一定の改善が見られるものの、受注側の立場にある素形材中小企業の個々の取引実態においては、まだ改善の余地が存在している。素形材産業の需要先の約7割は自動車・自動車部品関係であり、各国政府のEV化目標を背景とした生産効率向上の流れが国内外で加速することで、産業構造や取引環境が大きく変化し、素形材企業の経営環境や収益に重大な影響を与える可能性がある。調査では国内22社の素形材企業に対するヒアリング調査と、ドイツ・米国・カナダ・インドの4か国における取引環境の実態調査を実施した。国内調査の結果、政府の取組により支払条件の改善や価格転嫁の受け入れなど一定の成果が見られた一方で、曖昧でありながら重い義務を長期間課す基本契約、知的財産に対する理解不足、仕入れや機会損失に対する補償不足、型の保管・廃棄に係る取り決めの曖昧さといった慣習が根強く残っており、これらがものづくりの基盤力低下を招く要因となっている。海外調査では、金型に対する着手金の支払いや契約書での条件明記など、日本とは異なる取引慣行が確認され、特にドイツでは業界標準やInitiative Fairnessの取組により公正なビジネス関係構築を推進している。素形材産業統計の分析により、中国が圧倒的な生産量シェアを占める中で、日本企業は付加価値での勝負が必要であることが示された。