【報告書】令和5年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(製造業を中心とした企業のグローバル競争力強化に向けた コーポレート・トランスフォーメーションに関する調査)
報告書概要
この報告は、日本の製造業企業のグローバル競争力強化に向けたコーポレート・トランスフォーメーションについて書かれた報告書である。
日本企業の海外売上高比率はこの20年間で急激に上昇し、欧米企業と同水準に達したものの、収益性においては依然として劣後している状況が明らかとなった。定量的分析では、日本企業が事業と地域の多角化を同時に進めた結果、経営の複雑性が増大し、これが収益性の向上を阻害している可能性が示された。特に、多角化度と事業規模の拡大に伴って収益性が低下する傾向が顕著であり、日本企業は欧米企業と比較して複雑な経営環境への適応が遅れていることが判明した。
定性的分析においては、グローバル企業が備えるべきCXOファンクションとして、ファイナンス、HR、IT・デジタルの3つの機能に焦点を当てて調査を実施した。現状の日本企業では、CFO機能においてビジネスパートナーとしての役割が様々な部門に分散し、事業ポートフォリオの新陳代謝が進んでいない課題が確認された。また、CHRO機能では海外拠点の人材管理体制が未整備であり、CIO機能では業務プロセスの標準化とシステム統合が遅れていることが明らかとなった。これらの問題の根本的要因として、日本企業が「人に依存した連邦経営」から脱却できず、経営の複雑性に対応する体制整備が不十分であることが指摘されている。
