令和5年度学びと社会の連携促進事業(教育/EdTech イノベーション創出支援事業)報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度における教育分野でのイノベーション創出支援事業について書かれた報告書である。経済産業省が野村総合研究所に委託し、教育イノベーターの育成、創出、海外進出支援施策の検討を目的として実施された事業の成果をまとめている。
日本の教育改革を進めるためには、教育分野においてイノベーションを起こせるスタートアップ企業である「教育イノベーター」が必要不可欠であるが、その数と質は十分ではない状況にある。教育・EdTech産業では、公教育市場の特有な商習慣や収益化の困難さから、自立的なエコシステムが構築されておらず、官民一体となった支援が必要とされている。
本事業では、教育イノベーター支援プログラム(EOL)として複数の支援活動を展開した。メンタリング・ピッチ登壇支援では、24者からの応募に対し13者を採択し、有識者、学校・塾関係者、先輩起業家、事業会社、投資家などがメンターとして参加し、事業成長に向けたアドバイスを提供した。セミナー・ミートアップイベントでは、全4回のイベントを開催し、先輩起業家の経験談、ピッチ実践フィードバック、資金調達・事業連携戦略、ピッチイベントを通じて、採択イノベーターの成長を支援した。
海外教育イベント参加支援では、SXSW EDU 2024への参加を通じて6社の海外展開を支援し、現地でのメンタリングやネットワーキング機会を提供した。また、コミュニティ運営・情報発信活動により、教育イノベーターコミュニティの活性化を図った。
海外展開支援ニーズ把握調査では、マレーシア、ベトナム、インドの3か国で現地調査を実施し、教育イノベーターが海外展開において直面する課題を明らかにした。教育イノベーターの主な支援ニーズとして、顧客理解の深化、効率的な営業先獲得、多様な資本家との接点構築などが確認された。本事業により、教育分野における革新性と収益性を兼ね備えた製品・サービスの創出に向けたエコシステム構築が推進されている。
