令和5年度次代の産業クラスター政策としての「Local X Lab.」事業の発掘、磨き上げ実証事業調査報告書

掲載日: 2025年3月12日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局地域経済部地域連携推進課
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令和5年度次代の産業クラスター政策としての「Local X Lab.」事業の発掘、磨き上げ実証事業調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、次代の産業クラスター政策としての「Local X Lab.」事業について書かれた報告書である。本調査では、2022年度の地域一体型オープンファクトリー研究を踏まえ、VUCA時代における国内の次代産業クラスター政策として「Local X」の多様な可能性を明らかにすることを目的としている。全国8回のLocal X Forumを開催し、地域の実例を探りながらどのような要素が「X」になりうるかを検討した。

調査の結果、上手くワークするコミュニティには、サードプレイス機能、地域資源の活用、地域外の人の巻き込み、キーパーソンの存在といった要件が重要であることが判明した。イノベーションを生み出すメカニズムとしては、外部の目線による自己再認識から始まり、様々な人を巻き込む余白の創出、心理的安全性の確保、内発的動機への立ち返りを経て、持続的活動へと発展する「いる」→「なる」→「する」のプロセスが確認された。

Local Xの「X」には、各地域の個性やテーマを表す名詞的意味と、様々な主体が交わることで生まれる動詞的意味の二つのダブル・ミーニングが存在する。従来のコンソーシアム型とは異なり、コミュニティを起点とするアプローチの有効性が示された。人口減少と不確実性が増大する現代社会において、明確な目的設定よりも理念への共感から緩やかに形成されるコミュニティ型の課題解決手法が、迅速かつ柔軟な対応を可能にすることが明らかになった。今後は大企業や地域金融機関との連携を通じて、この新たな産業政策アプローチの実証と展開を進めることが提案されている。