令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(MICE×MaaSによる発展可能性調査)」報告書
報告書概要
この報告は、MICE(会議、研修旅行、国際会議、展示会・イベント)とMaaS(Mobility as a Service)を組み合わせた「ビジネス・バイウェイ」の概念について検討した報告書である。
報告書では、ビジネス目的で日本を訪れる者が、本来の業務以外の地域滞在・周遊を行う「寄り道(バイウェイ)」を促進し、新たな経済効果を創出する手法としてビジネス・バイウェイを定義している。これは、MICEなど主としてビジネスを目的とした出張の際に、追加的に訪れることが業務として容認される「国際社会的に魅力あるコンテンツ」を指すものである。
ビジネス・バイウェイの概念は三つのタイプに分類される。イノベーション創造型は、多様な参加者による非予定調和な出会いからセレンディピティ型のイノベーション創出を狙うものである。ビジネス機会創出型は、限られたステークホルダー間の密度の濃い対話・交流により、確実性の高いビジネス機会創出を目指すものである。地域消費貢献型は、多様なステークホルダーが地域産業や商材に触れることで地域消費に貢献するものである。
MICEとの親和性を検討した結果、国際会議(Convention)と展示会・見本市(Exhibition/Event)において、イノベーション創造型とビジネス機会創出型のビジネス・バイウェイとの組み合わせに大きな可能性があることが明らかとなった。特に、地域一体型オープンファクトリーやテクニカルビジット、大学等研究機関、共創空間などがバイウェイ先候補として挙げられている。
モデル地域として福井県鯖江市・越前市・越前町で開催される「RENEW」を調査し、オープンファクトリーイベントにおけるモビリティサービスの導入状況を分析した。RENEWでは2021年よりタクシーチケット事業を開始し、2022年からRYDE PASSアプリを導入することで利用者の利便性が向上している。
最終的に、ビジネス・バイウェイの実現には、移動の連続性・利便性の確保、目的地情報と移動情報の一元化、インバウンド対応の多言語化、参加者同士のコミュニケーション誘発などの機能を持つMaaSの構築が必要であることが示されている。
