令和5年度中小企業の防災・減災力の向上に向けたリスクファイナンス可視化ツールの開発等に関する調査報告書

掲載日: 2025年3月12日
委託元: 経済産業省
担当課室: 関東経済産業局産業部中小企業課
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令和5年度中小企業の防災・減災力の向上に向けたリスクファイナンス可視化ツールの開発等に関する調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中小企業の防災・減災力向上に向けたリスクファイナンス可視化ツールの開発に関する調査報告書である。近年の自然災害頻発により、中小企業の事業継続力強化が重要課題となっているが、企業では適切なリスクファイナンスへの対応方法が分からないという声が多い現状を受け、経済産業省が推進する事業継続力強化計画制度の実効性向上を目的として本調査が実施された。

調査の中核となるのは、地震や水災時に必要な資金と調達可能な資金を簡易かつ実践的に把握できる「リスクファイナンス判断シート」の開発である。このシートはMicrosoft Excelで作成され、災害による休業時の運転資金や復旧費用と、現預金、保険金、借入金等の調達可能資金を比較することで、資金の過不足を可視化する機能を持つ。業種や従業員数等の基本情報から自動計算される参考値も表示され、専門知識がなくても活用できる設計となっている。

実証実験では関東地域の4社(観光業、製造業2社、複合サービス事業)を対象として、リスクファイナンス判断シートの活用と水災リスク診断を実施した。その結果、A社では被害想定額3000万円、B社では1億400万円、C社では4億2100万円、D社では1億5100万円という具体的な損害額が算出され、各企業の経営者は想定以上のリスクの大きさに驚きを示した。また、防災・減災対策の費用対効果も定量的に提示され、企業の投資判断を支援する効果が確認された。今後の改善策として、業界別シートの作成や想定リスクの追加等が提案されている。