令和5年度コンテンツ海外展開促進事業(映画産業における制作現場の適正化に向けた作品認定制度等に関するフォローアップ調査)報告書

掲載日: 2025年3月12日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ文化創造産業課
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令和5年度コンテンツ海外展開促進事業(映画産業における制作現場の適正化に向けた作品認定制度等に関するフォローアップ調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、映画産業における制作現場の適正化に向けた作品認定制度等について書かれた報告書である。映画産業がデジタル時代の変革期を迎える中で、制作現場のフリーランス取引・就業環境をめぐる課題が浮き彫りとなり、令和2年度から制作現場の適正化について検討が進められてきた。令和4年度には日本映画制作適正化機構が設置され、作品認定制度の運用が開始された。令和5年度では、制作環境の好循環を実現するために必要な改善点について検討することを目的として調査が実施された。

調査は作品認定制度フォローアップ会議を4回開催し、制作会社やフリーランス11名へのヒアリング調査、65名からのアンケート調査により構成されている。作品認定制度への申請は当初想定を上回る55件に達し、映適ガイドラインに定められたルールに対して前向きな意見がみられた一方で、実施上の課題も明らかになった。

主要な課題として、日帰りロケ時の労働時間管理の困難さ、準備パートのスタッフへの配慮不足、13時間労働ルールの実行困難性が挙げられた。また、映適ガイドラインを遵守するための制作費増加について、制作会社から映画製作者への理解が必ずしも得られていない状況がある。契約書交付についても時期にばらつきがみられ、徹底が求められている。

スタッフセンターについては登録者数が伸び悩んでおり、130人の登録にとどまっている。今後はマッチング機能の充実や人材育成メニューの拡充により、参加インセンティブを高めていく必要がある。次年度以降は個別課題に対する検証と対処方策の検討を進め、ルールの精緻化を図るとともに、業界全体への普及促進と理解向上に取り組むことが求められている。