令和5年度地域デジタル人材育成・確保推進事業(ゲーミフィケーションを活用した人材育成等に関する調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、ゲーミフィケーションを活用した人材育成等に関する調査事業について書かれた報告書である。デジタル人材の質・量両面での不足が深刻化する中、2026年度までに230万人のデジタル人材育成という国家目標を背景に、ゲーミフィケーションの教育効果と活用可能性を体系的に調査・分析している。
ゲーミフィケーションは単なるゲーム手法の流用ではなく、ゲーム業界が培ったナレッジを理解した上で、ユーザーを惹きつけて楽しませながら課題解決を図るものと定義される。個人レベルから社会レベルまでの様々な課題解決に活用されており、その社会的価値は高く評価されている。
学習効果については、まず学習者の学習に向かう姿勢・態度の変化をもたらし、その上でマインド・スキルや知識の向上に効果を発揮することが明らかになった。具体的には、ARCSモデルに基づく注意喚起、関連性、自信、満足感の向上や、対課題、対自己、対人のマインド・スキルの育成、さらに科目別知識から実践知識まで幅広い知識獲得が可能である。
学校教育現場への導入においては、ゲーム会社伴走型、コーディネーター主導型、事業者主導型の3つのパターンが確認され、認知・関心、導入、運用の段階的なステップを踏むことが重要とされる。特に教職員への伴走支援が導入成功の鍵となる。
ゲーミフィケーションを機能させるスキルとしては、利用者の課題感やニーズを抽出・分析するスキルと、それを解決するアウトプットを制作者と形にするスキルの2つに大別される。一人がすべてを担う必要はなく、チームでの対応や取組の中でのスキル獲得が可能である。今後の取組拡大に向けては、継続的な実証、効果の広報、導入支援の3つの観点から好循環を生み出すことが必要とされている。