令和5年度産業経済研究委託調査事業(事業再編の実態等に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、事業再編の実態等に関する調査について書かれた報告書である。我が国の組織再編税制は2001年度に導入されたが、当初は企業グループ内の組織再編成を基本形として制定されており、近年の企業を取り巻く経営環境の変化に対応できていない状況にある。そこで本調査では、諸外国における組織再編税制の課税繰延べ規定の理論的根拠と具体的要件を検討し、我が国制度の今後の在り方への示唆を得ることを目的とした。調査対象国は米国、英国、ドイツ、フランスであり、文献調査、有識者ヒアリング、データベース調査を実施した。米国では投資持分継続要件が課税繰延べの根幹とされ、合併において対価の40%が株式であれば適格要件を満たすとされている。英国では株主と対象会社との資本関係に実質的変更がない場合に課税繰延べが認められ、非株式対価についても一定程度許容されている。ドイツでは経済的取組みの継続が根拠とされ、株式交換では非株式対価を25%まで認めている。フランスでは事業継続性を重視し、非株式対価は10%まで許容されている。また、米国及び英国における混合対価M&Aやスピンオフ事例の調査では、これらの取引形態が極めて一般的であることが判明した。各国とも我が国のように対価を全て株式とすることは求めておらず、投資持分継続性の判断において一定割合の現金対価を許容している。これらの調査結果を踏まえ、企業の事業ポートフォリオ見直しを後押しする組織再編税制の形を検討することが望まれるとしている。