令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(サステナブルな高齢化社会実現及び当事者参画型開発普及に向けた関連事業)報告書
報告書概要
この報告は、サステナブルな高齢化社会実現及び当事者参画型開発普及に向けた関連事業について書かれた報告書である。
経済産業省ヘルスケア産業課では、ヘルスケア領域における産業界の取組機運を高め、官民連携・イノベーション創出・社会実装を推進するため、認知症等に関する取組や介護領域におけるビジネスケアラー支援、公的保険外サービス振興の検討等を実施している。
認知症に関しては、認知症施策推進大綱を踏まえ、日本認知症官民協議会の下に設置された認知症イノベーションアライアンスワーキンググループにおいて、認知症当事者の尊厳を最大限配慮しながらイノベーション創出に向けた検討が行われている。特に重要な取組として、認知症の人と企業が共創して製品・サービスを開発する「当事者参画型開発」の推進と、「認知症予防に関する民間サービスの開発・展開にあたっての提言」の普及が主な論点となっている。
当事者参画型開発については、17の企業・団体を採択し、買い物、移動・交通、金融・財産管理、調理・食事、口腔ケア、趣味・学び、衣服、コミュニケーション・交流、運動・身体活動、生活支援全般等の多様な生活課題を対象とした実践を推進した。さらに企業参画促進セッションと当事者参画促進セッションを設置し、参画拡大に向けた方策検討を実施している。
介護領域については、産業構造審議会経済産業新機軸部会において「ビジネスケアラー」への支援重点化方針が定められ、地域における介護需要の新たな受け皿整備と職域における両立支援促進、介護領域の社会機運醸成に取り組んでいる。職域支援では先進企業のヒアリング調査や効果検証を実施し、ガイドライン作成を行った。
また、心の健康保持増進分野や女性の健康領域への当事者参画型開発の横展開可能性についても検証を実施し、各分野における課題や実施上の留意点を明らかにしている。今後は持続的な仕組み実現に向け、マネタイズや運営体制整備を進めながら、取組の継続・拡大を図っていく方針である。
