令和5年度金融機関等における中小企業の経営支援の在り方に関する分析事業報告書
報告書概要
この報告は、中小企業向け金融機関等における経営支援の在り方について書かれた報告書である。令和5年度に帝国データバンクが中小企業庁向けに実施した分析事業の結果をまとめたものであり、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し経済活動が平時に戻る中で、中小企業の経営改善や再生支援の強化に重点を置いた金融支援の在り方を検討している。
分析は保証協会と民間金融機関の経営支援について、CRD協会データやTDBデータを活用して効果検証を行った。保証協会の分析では、専門家派遣と計画策定支援を受けた企業と非受講企業を比較し、売上高営業利益率、自己資本比率、EBITDAなどの財務指標の変化を検証した。その結果、保証協会の経営支援は即効性を狙った財務改善支援が中心であり、特に売上高営業利益率や自己資本比率の改善において効果が確認された。また、継続的に効果的な支援を行っている協会では、事前のターゲティングの徹底や関係機関との連携が特徴として挙げられた。
民間金融機関の分析では、プロパー融資のみ先とプロパー融資+保証付融資先を比較した結果、コロナ前後を通じてプロパー融資のみ先の方が財務指標の改善幅が大きいことが確認された。さらに、メイン行を変更しなかった事業者の方が変更した事業者よりも業績改善効果が高く、メイン行であり続ける金融機関が手厚い経営支援を行っている可能性が示唆された。
検討会は学識者・有識者6名で構成され全5回開催された。総括として、保証協会については効果的な取組の横展開が必要であり、民間金融機関については100%保証付融資制度を含む責任分担の在り方の検討と、事業者との信頼関係構築による継続的なメイン行関係の重要性が指摘された。
