令和5 年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(社会課題解決に資するイノベーション推進・市場創出に関する施策の立案検討のための調査・普及に関する事業)最終報告書

掲載日: 2025年3月14日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局総務課
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令和5 年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(社会課題解決に資するイノベーション推進・市場創出に関する施策の立案検討のための調査・普及に関する事業)最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、社会課題解決に資するイノベーション推進・市場創出に関する国際経済調査について書かれた報告書である。

報告書は主に四つの部分から構成されている。第一に、海外における社会課題解決に資するイノベーション推進・市場創出の取組について、ドイツ、スウェーデン、UK、アメリカ、インドネシア、ベトナム、フィンランドの七か国を対象とした現地調査を実施した。各国の政策ツールを「組織向け」「個人向け」および「経済的インセンティブ」「非経済的インセンティブ」の二軸で分類し、知の創造、知の具現化、社会への普及の三段階におけるイノベーション政策を分析している。調査の結果、ドイツのフラウンホーファー協会、スウェーデンのVINNOVA、UKのInnovate UKなど、各国が独自のイノベーション推進体制を構築していることが明らかとなった。

第二に、政策を通じた社会課題解決のプロセスモデルの策定において、社会課題のデザイン、仕組みのデザイン、ファイナンスのデザイン、政策のデザインという四つのステップを提示した。持続可能な社会課題解決には共通の指標設定と資金循環を生むビジネスモデルが不可欠であるとし、「徳ポイント制度」のような新たな政策ツールの可能性についても検討している。

第三に、防災・災害対策の事例研究では、近年の災害激甚化を背景に、世界の防災市場が2023年の1,748億ドルから2032年には3,612億ドルに拡大する見込みであることを示した。日本企業が持つ「文民型の防災」技術の海外展開可能性と、そのための標準化やルール形成の必要性について論じている。

第四に、児童虐待防止と高齢者・乳幼児の製品安全に関する事例研究を通じて、データ分析ツールや匿名性を確保したケアサービスなど、先端技術を活用した社会課題解決の先進事例を分析している。これらの分析を通じて、社会課題解決に向けたイノベーション創出のための政策的含意を提示している。