令和5年度燃料安定供給対策調査等事業(2050年カーボンニュートラルに向けたCCSの事業環境整備やCCS行動計画等に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、2050年カーボンニュートラル達成に向けたCCS(二酸化炭素回収・貯留)の事業環境整備とCCS行動計画策定のための調査結果をまとめたものである。第2章では産業分野別CCSコストに関する調査として、CO2分離回収、輸送、貯留・モニタリングの各段階でのコスト構造を詳細に分析し、技術開発によるコスト低減方針を検討した。CO2分圧から分離回収コストを簡易算出する計算式を導出し、石炭火力や天然ガス火力を対象とした全体システムのコスト試算を実施した。コスト低減策として、分離回収では再生エネルギー削減技術、輸送では省エネ機器開発、貯留では掘削費低減とモニタリング適正化を提案している。また事業者ヒアリングを通じて、貯留地点確保、資金調達・支援制度、責任範囲の明確化、社会受容性向上等の課題を整理した。第3章のカーボン・クレジット制度調査では、豪州やカナダ等での先進事例を分析し、国内CCS事業でのクレジット創出には法的枠組み構築と長期モニタリング技術確立が重要であることを指摘した。別冊では米国カリフォルニア州の低炭素燃料基準制度を詳細調査し、CCSプロジェクトがクレジット取引を通じて事業化される仕組みを分析している。