令和5年度デジタル取引環境整備事業(データ連携のためのモデル規約に関する調査研究及び会合運営)調査報告書
報告書概要
この報告は、データ連携のためのモデル規約に関する調査研究について書かれた報告書である。
データドリブン社会において、サプライチェーンにおけるデータ連携を促進するため、経済産業省及びIPA DADCが「サプライチェーン上のデータ連携の仕組みに関するガイドラインα版」を公表し、NEDOにおいてサプライチェーンマネジメント基盤の実装が進められている背景を受けて実施された。本調査では、データ連携基盤における適切な権利義務関係を含む規約を制度的基盤として定めることを目的として、データ連携のためのモデル規約を策定した。
調査の進め方として、まず法律実務家や有識者から構成される専門家会合を設置・運営し、モデル規約策定に関する専門的な議論を行った。専門家会合は令和5年11月から令和6年3月まで4回開催され、データ連携基盤やモデル規約案について検討を重ねた。また、実務的な観点からの知見収集のため、データ連携基盤の利用が想定される日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、電池サプライチェーン協議会及び関連企業を対象として2次にわたるヒアリングを実施した。さらに、国内外のサプライチェーンでの利用を想定したデータ連携基盤の事例調査として、Chemical Management PlatformやInternational Material Data Systemなどについて調査を行った。
これらの調査結果を踏まえて、CFPのトレーサビリティが必要となる企業間でのデータ連携をユースケースとして、特定型データ連携基盤のモデル規約として整理した。今後の課題として、基盤の公益性と公平性、データ連携基盤のガバナンス、サプライチェーンにおけるデータの連鎖性・重層性など、多岐にわたる論点について継続的な検討が必要であることが示された。