令和5年度広域関東圏における半導体産業振興・人材育成確保に向けた課題解決モデル調査事業報告書
報告書概要
この報告は、広域関東圏における半導体産業振興・人材育成確保に向けた課題解決モデル調査事業について書かれた報告書である。本調査は、半導体産業における人材育成や人材確保のあり方を見直し、地域の特徴を考慮した人材育成支援モデルを構築することを目的として実施された。
調査は大きく二つの柱で進められた。まず広域関東圏における圏域の実態把握では、スタートアップ検索ツールを活用して半導体関連の中小企業496社を発掘・マッピングし、このうち6社にヒアリングを実施した。その結果、企業は優れた技術力を有する一方で、人材不足、販路開拓、設備更新、資金調達等の多岐にわたる課題を抱えていることが明らかとなった。また大企業の投資計画や企業集積状況から、茨城県と栃木県が今後の半導体産業発展のポテンシャルが高い地域として特定された。教育機関のポテンシャル調査では、クリーンルームによる半導体プロセスが可能な大学等は7ヶ所で、うち6ヶ所が外部利用可能であることが判明した。
次に半導体産業人材育成確保支援モデルの検討では、セミコンジャパン2023における魅力発信効果調査と、ミニマルファブを活用した半導体製造1日体験実習を実施した。セミコンジャパンでの調査では、中立的立場からの業界説明や装置体験を組み合わせたリアルでの発信が、意識・知識の高い学生層に有効であることが確認された。体験実習では、実践的教育が学生にとって重要である一方、持続的なリソース確保が課題となることが明らかになった。
これらの調査結果を踏まえ、学生の興味と知見レベルに応じた4つの人材育成プログラムが提案された。今後は産学官連携による実践教育機会の提供と、企業支援による教育システムの構築が重要である。