令和5年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(専門家派遣システムの改修、保守運用、調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が実施した専門家派遣システム「中小企業119」の改修及び検証事業について書かれた報告書である。中小企業庁では中小企業・小規模事業者の経営支援を目的として、平成25年より「ミラサポ」を構築・運用し、専門家派遣事業を実施してきたが、新システム「中小企業119」移行後もユーザビリティを中心とした課題が見られた。専門家による報告手続きや差し戻し修正が派遣可能機関や専門家の作業遅延を招き、支援が円滑に行われないという問題があった。
令和5年度事業では効率化と作業負担軽減を目的としたシステム改修を実施した。主な改修点として、専門家向けにはLINEリッチメニューの改善、旅費申請のシステム化、インボイス番号登録機能の実装、関連資料の一元化を行った。派遣可能機関向けには専門家評価項目の変更、事業者登録時の一時保存機能実装、不備入力アラート機能を追加した。
システム改修後の検証として、専門家10名と派遣可能機関10機構を対象にWebオンラインヒアリング調査を実施した。その結果、報告書作成時の一時保存機能による時間短縮、関連資料一元化による作業効率向上、旅費申請システム化による作業負担軽減、不備入力アラート機能による手戻り軽減など、多くの改善効果が確認された。
一方で更なる改善点も明らかになった。専門家からは報告書記載画面からの画面遷移改善、担当者名の自動入力、LINEメッセージの見やすさ向上などの要望があった。派遣可能機関からは誤操作時の取消機能、未承認申請件数の表示、派遣予定日時設定の利便性向上などが求められた。
今後の提案として、スマートフォンとパソコンの使用差異解消、専門家から案件や事務局への評価制度導入、各種証明書の電子発行、旅費自動計算機能追加などが挙げられている。次年度以降も継続的なヒアリング調査を実施し、利用者ニーズに即したシステム改修・追加を行うことで、中小企業の業務改善に貢献していくことが目標とされている。
