令和5年度統計調査業務改善に関する調査研究事業報告書
報告書概要
この報告は、統計調査業務における経済指数、特に鉱工業指数の理論と実践について書かれた報告書である。
指数とは、ある基準を定めてその基準値を100として、そこからの変化を増減で表す指標であり、時間的・場所的な比較を容易にする利点がある。我が国の鉱工業指数は戦後早期から作成が開始され、現在は7つの指数体系から構成されている。
鉱工業指数の中核をなす生産指数は、付加価値額ウェイトを用いた固定基準加重算術平均法により算出され、経済センサス活動調査を主要な基礎データとしている。生産者出荷指数は需要動向を、生産者製品在庫指数は在庫動向を、在庫率指数は需給状況をそれぞれ表現している。また、生産能力指数と稼働率指数により設備の稼働状況を把握できる。製造工業生産予測指数は企業の生産計画調査に基づく先行指標として機能している。
指数作成においては、5年ごとの基準改定により品目構成とウェイトの見直しが行われ、代表性の維持が図られている。採用品目の選定では付加価値額の大きさと個別指数の変動を考慮し、生産動態統計を中心とした基礎データから約400品目が選ばれている。
季節調整については、米国商務省が開発したX-12-ARIMAを採用している。この手法は事前調整、移動平均による季節変動抽出、事後診断の3段階から構成され、異常値処理や曜日・祝祭日調整機能を有している。季節調整により短期的な動向観察が容易になり、景気判断の重要な材料となっている。
指数は経済分析の基本的なツールとして、政策立案や民間の意思決定に広く活用されており、継続的な改善により精度向上が図られている。
