令和5年度気候変動対策に係る国際会議の開催等によるエネルギー・環境技術イノベーション創出のための国際連携推進事業(技術革新によるエネルギー需要変化に関するモデル比較国際連携事業)成果報告書
報告書概要
この報告は、技術革新によるエネルギー需要変化に関するモデル比較国際連携事業について書かれた報告書である。地球温暖化対策として、エネルギー需要サイドの技術革新と社会変化による低エネルギー需要社会の実現可能性を、国際的な研究協力により定量的に分析・評価することを目的としている。
本事業では、国際応用システム分析研究所(IIASA)を中心に開発されたLED(Low Energy Demand)シナリオに基づき、AI等の技術進展や社会変化を伴う低エネルギー需要の実現について包括的な調査を実施した。欧州、米国、アジア、中南米の主要研究機関23機関と連携し、デジタルトランスフォーメーションによるサーキュラー・シェアリングエコノミー、エネルギー効率化、建築物の高寿命化、食品廃棄削減等の多様な需要側対策を分析した。
研究結果として、需要側対策により2050年までに世界のGHG排出量をベースラインシナリオ比で40~70%削減可能であることが示された。また、これらの対策は全ての人々の基本的幸福の向上と整合的であり、「経済と環境の好循環」を実現する可能性が確認された。国際ワークショップには18カ国から70名が参加し、IPCC執筆者も多数含まれており、次期IPCC報告書への重要な科学的知見の提供が期待される。本事業により構築された国際研究コミュニティは、気候変動緩和と持続可能な開発目標の同時達成に向けた需要側ソリューションの主流化に大きく貢献している。
