令和5年度補正我が国の文化芸術コンテンツ・スポーツ産業の海外展開促進事業(企業の新たなアート投資につながる未活用アートの放出等に関する実証事業)事業報告書(公開用)
報告書概要
この報告は、企業の新たなアート投資につながる未活用アートの放出等に関する実証事業について書かれた報告書である。経済産業省が推進する文化産業と経済発展の好循環実現を目指し、民間企業によるアート取組の促進に向けた調査・実証事業をPwCコンサルティング合同会社が実施した結果をまとめている。
事業の主要な取組として、四つの柱が設定された。まず、アートを活用した企業価値向上の事例調査では、経営企画領域での企業戦略構築、事業開発領域での新規事業開発、マーケティング領域での既存事業高度化や顧客関係強化、人事領域での人材育成やエンゲージメント向上など、広範な企業価値向上事例を特定した。また、アートレンタルの有効性調査では、初期コストの安さや資産登録不要といったメリットから、購入に比べて気軽なアート導入手段として有効であることが判明した。
実証面では、製造メーカーと現代アーティストの協業による新規事業開発を実施し、アーティストの思考プロセスを取り入れたワークショップを通じて新規事業コンセプトの導出に成功した。さらに、大手金融機関の協力を得て約3,000点の保有アート作品の可視化と社会還元を実証し、作品リスト整備や査定鑑定の進め方を明らかにするとともに、美術館での企画展貸与などの社会還元可能性を確認した。これらの成果により、企業のアート活用促進に向けた具体的な手引きと課題解決策を提示している。
