令和5年度北海道の地方都市におけるタクシー共通配車システムの有効性及び他産業との連携や新制度の導入による利用促進モデルの事業性調査・分析事業_事業実施報告書
報告書概要
この報告は、北海道室蘭市におけるタクシー共通配車システムの有効性及び他産業との連携による利用促進モデルの事業性について書かれた報告書である。室蘭市は人口がピーク時の18万人から8万人以下に減少し、高齢化率が38.1%に達している地域である。公共交通の利用率は9%と極めて低く、自動車依存率が72%となっているが、高齢者の免許返納により代替移動手段の確立が急務となっている。また、市内のタクシー登録台数は231台まで減少し、ドライバーの高齢化と夜間営業台数の大幅減少が深刻な課題となっている。
本事業では令和5年10月から12月にかけて3つの実証実験を実施した。第一に複数のタクシー事業者を統合した共通管制システムを導入し、車両の一元管理と最適配車を実現した。第二に提携店舗との連携により、買い物額に応じたタクシー割引クーポンを発行し料金低廉化を図った。第三にダイナミックプライシングを疑似的に導入し、日中の閑散期における稼働平準化を検証した。実証結果として、共通管制システムにより予約成立率が向上し、店舗発行クーポンでは利用者の外出頻度増加が確認された。ダイナミックプライシングでは一部店舗において日中時間帯の予約数が大幅に増加する効果が認められた。