令和5年度国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費(環境負荷の見える化に向けたCFP(カーボンフットプリント)における炭素除去等の算定手法に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、カーボンフットプリント(CFP)における炭素除去等の算定手法と再生可能エネルギー証書の取扱いについて書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラル実現に向けて、製品単位の温室効果ガス排出量を見える化するCFPの重要性が高まる中、従来のガイドラインでは詳細に整理されていない炭素除去・吸収・貯留系や再生可能エネルギー証書の取扱いについて調査・提案を行っている。
第2章では、CFPにおける炭素除去等の取扱いについて、ISO14067やGHGプロトコルなどの主要ガイド文書、IDEA、ecoinvent、EF3.1等のLCAデータベースを対象として算定・報告対象の対応関係を整理した。化石由来GHGの除去については、正味の排出量をプラス計上することが妥当とし、植物由来GHGについては排出と除去の相殺処理やバイオマス由来炭素の製品固定量の算定方法を提案している。また、土地利用・土地利用変化に伴う排出については、トレーサビリティの度合いに応じた算定アプローチを示し、間接的土地利用変化についても評価範囲への包含を検討すべきとしている。
第3章では、欧州電池規則におけるカーボンフットプリント算定時の電力証書要件と、日本国内の非化石証書、再エネ電力Jクレジット、グリーン電力証書の対応関係を分析した。属性伝達や唯一性確保などの基準については概ね対応しているが、複数証書制度を考慮した統一的な残余ミックス公開が課題となっている。さらに、GHGプロトコルScope2ガイダンス改訂議論における時間的整合性強化の動向や、北米、中国、韓国の証書制度の特徴についても調査し、国際的な制度調和の必要性を指摘している。