平成30年度中小企業実態調査委託費(福島への交流人口拡大に向けた実態調査事業)

掲載日: 2020年6月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 福島復興推進グループ福島広報戦略・風評被害対応室
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報告書概要

この報告は、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を受けた福島県12市町村における交流人口拡大に向けた調査について書かれた報告書である。

平成23年の震災以降、避難指示区域が設定された12市町村では、平成26年以降徐々に避難指示が解除されているが、相双地域の観光客入込状況は震災前の半分程度に留まっている。このため、位置情報データを活用して12市町村への流入人口の実態を把握し、交流人口拡大に向けた施策を検討した。

調査はKDDIの位置情報データ分析サービスを使用し、2018年の年間データを分析した結果、年間来訪者数は約37,000人となった。来訪者の72%が東北地域、24%が関東地域からの訪問で、福島県内からの訪問が最も多く全体の54%を占めている。月別では8月の来訪者が最も多く、7-9月期が全体の約30%となっている。

性年代別では男性が60%、女性が40%で、40代以上の訪問者が多い。交通手段は自動車での訪問が全体の8割を超え、宿泊率は38%、そのうち域内宿泊率は25%程度である。主な滞在地は南相馬市と田村市で、それぞれ全訪問者の約33%が訪れている。

分析の結果、ビジネス目的での訪問が多く、観光目的での訪問は限定的であることが判明した。主要な観光資源としてはあぶくま洞や道の駅等での滞在が多く、域内での周遊は限定的である。また、いわき市、仙台市、郡山市、福島市が12市町村訪問時の主要な経由地となっている。

これらの課題を踏まえ、交流人口拡大に向けて、12市町村独自のテーマ性を持った観光商品の造成、域内外での交通利便性向上、未訪問層への認知拡大のための情報発信という3つの基本方向性を提案している。具体的には、ホープツーリズムやスポーツツーリズム等のテーマ別商品開発、MaaSを活用した交通環境整備、首都圏をターゲットとした情報発信戦略等を提言している。