平成30年度発電所の環境影響評価審査に係る調査委託費(風力発電に係る審査の具体化)報告書
報告書概要
この報告は、風力発電事業の環境影響評価手法と審査基準の具体化について書かれた報告書である。風力発電所は平成24年10月より環境影響評価の対象となったが、制度開始から日が浅く、他の発電所と比べてアセス図書の充実が図れておらず、審査過程で多数の指摘事項が発生している状況にある。また環境影響評価手続きの迅速化が求められており、案件の急増及び多様化に伴い、効率的・効果的な審査を行うため既存の実績や研究成果を整理し、審査へ活用することが急務となっている。そこで本事業では、風力発電所に関する調査、予測及び評価手法を具体化することで、アセス図書の内容充実を図り審査過程における指摘事項を減らすとともに、審査基準を具体化することで、信頼性・透明性を確保しつつ審査の迅速化を図ることを目的とした。調査では、既往の研究成果や実態調査結果を基に、風力発電事業の工事規模が他の発電所と比較して小さく、環境影響の程度が低いことが明らかとなった。特に工事用資材の搬出入及び建設機械の稼働について、大気質、騒音、振動の影響は軽微であることが確認された。この結果を踏まえ、参考項目の再編案として、工事中の大気質や建設機械の稼働に伴う振動、施設の稼働に伴う超低周波音については、必要がある場合以外は参考項目から外すことが提案された。さらに技術解説書案、審査指針解説書案、審査マニュアル案を作成し、今後の風力発電事業における環境影響評価の円滑な実施と審査の効率化に資する成果をまとめた。